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その3 く
クヌート
ドイツかその辺の動物園にいる白くま。 ニュースなんかで何かと話題だが、オレには上記以上のコトはわからない。 なんで、得意の虚言を駆使して、勝手にクヌートを作りあげてみよう。 クヌート。 体長4m、体重は軽く2tを超える北極熊。 核実験の影響からクリチャー化している。 性格は、極めて残忍で獰猛。高い知能を持つ。 その巨体からは考えられないような身体能力を誇る。 体液は牛一頭を約15秒で煙に変えるほどの濃硫酸化している。 何人ものハンターがクヌートに挑むがただの一人として帰ってきた者はいない。 アメリカ国防省が、部隊を派遣したとの噂があるがあくまでも噂の域はでない。 人類ができる事は、防護壁を作りクヌートの動向を監視するだけである。 長いコト裏の仕事を続けてきたがこんな依頼は初めてだ。 まさか、ペンタゴンからの依頼とは… オレの提示した報酬を出すならどんな依頼でも受けるってのがオレのやり方なんだが、思いっきりふっかけてやったのに二つ返事でOKをだすとは… まぁいい、成功さえすれば一生遊んで暮らしても使い切れない額だ。 それに道具も欲しいものはみんな支給してくれるらしいし、いままでのコトを全部チャラにしてくれるって言うし最高じゃねーか。 その日からオレはトレーニングを始めた。 どうやらそのバケモノには鉄砲の弾なんか効かないらしい。牽制程度にしか使えない。 とにかく体が資本だ。最高の状態にもっていかなくては。 正直少しびびっているが、近頃は大抵がこそこそした仕事だったんで興奮している自分もいる。 精神状態は万全だ。これくらいが調度いい。 いよいよ出発は明日だ。 ペンタゴンからの確認の電話が入る。オレが頼んでいた武器の準備も万全なようだ。 何度も繰り返し見たバケモノのビデオを見る。シュミレーションも完璧。 準備は整った。 ベットに入ると、チャイムが鳴った。 ドアの前には、コールガールのリンジーが立っていた。 どこで仕入れたのか、オレがバケモノ退治に行くと知り心配してきたらしい。 どうもオレはこの女に弱い。 彼女の前では強がりしか言えない。おそらく好きなんだろう、この女のコトが… 山ほど報酬を貰えるコトを話し、終わったらオマエを買ってやるよと軽口を叩きなんとか家に帰した。 まずい…少し動揺している… 次の朝ペンタゴンから迎えが来た。 その男はメガネに安物のスーツのクラーク・ケントの失敗作のような男だった。 ありふれたフォードに乗り基地へ向かう。 運転しながらクラーク・ケントはワイフの話やら子供たちの話を延々している。時にはポケットから家族の写真を出してまでだ。 始めはうざったく思ったが、すぐにわかった。コイツの話は全部嘘だ。 軍も正規の仕事じゃないんでこういう男を使う必要があるのか… 基地に着くと、お偉方がわらわら集まりだした。 どうやら作戦会議を開くらしい。 作戦を実行するのはオレ一人だ。会議なんて必要ない。 お前らはオレを防護壁の中まで送り届け、迎えにくるだけだ。 インコムの使い方の確認と、軍が余計に用意した武器の選別をする。 武器は必要最低限でいい。 いよいよバケモノ退治だ。 真っ黒なヘリに乗り込む。どこにもパーソナルマークはついてない。あくまでの裏の仕事って訳か。 快適とは言いがたい空の旅だ。 ヘリの中で支給された、耐寒耐酸の防護服に着替える。多少動きにくいがこれがなければどうしようもない。 防護壁が見えてきた。5km四方の巨大な壁。まさに要塞だ。 ヘリは防護壁のほぼ中央で、地上から1.5mほどのところでホバリングする。 オレは武器を投げ降ろし、自分も飛び降りる。 クラーク・ケントがオレに向かって親指を立てる。 オペレーターがインカムで北東に1.8kmの位置にヤツがいると伝える。 ヘリの音でオレの存在にもう気付いてるようだ。 防護壁ができてから3年半。その間エサを一回も喰ってないがいまだに生きている。 ヤツからすればオレは久しぶりのエサだ。 思ってたより寒い。だが体を硬直させる訳にはいかない。 オペレーターからヤツが1kmまで近づいたと報告。声が上ずっている。 オレは武器を並べる。 テンションを上げろ!戦闘開始だ! ヤツを視界に捕らえた。でかい。4mどころじゃない。6mは超えている。まだ成長してるのか。 びびるな!オレはヤツを倒しにきた!それだけだ! 閃光弾を打ち上げる。知能が高いって言っても所詮は熊だ。目潰しは成功だ。 すばやくミサイルランチャーに持ち替え、狙いを定める。 ヤツが倒れた。 続けざまに新しいランチャーを手に取り2発目、3発目を撃ち込む。 3発目でヤツの左前足が吹っ飛んだ。先制攻撃は成功だ。 動かない。3分経過したが動かない。倒したのか? これほどあっけないとは… ゆっくりとヤツに近づく。当初からランチャーで牽制した後は接近戦の予定だった。 腰のサムライブレードTITISIBORIを抜く。 3mまで近づいたところでヤツが立ち上がった。 まさか、熊に死んだふりをされるとは。 とにかく素早く動いて、ヤツを翻弄するんだ。 左前足を失ったヤツはバランスがとれずにいる。 チャンスだ。左から回り込み、下から顔を斬り上げる。 鼻をそぎ落とした。真っ黒な血が吹き出し返り血を浴びる。 くそたっれ! 防護服がシューシューいって溶け出した。 素早く防護服を脱ぎ捨てる。 寒くはない。テンションは上りきっている。 インカム相手にわめき散らすがインカムもヤツの血で壊れたようだ。雑音しか入らない。 優勢だが、次の手がない。このままだと二階級特進してしまう。 ガンベルトのウージーでそぎ落とした鼻に狙いを定める。 マガジン3個分の弾を撃ち込んだが効いている様子がない。 しかも、そぎ落とした鼻に当たってない弾は全てはじき返されている。 せめてもう一発ロケットランチャーがあれば… 武器は念のためにもってきたマシンガンと、サムライブレードTITISIBORIしかない。 マシンガンが効かないのはわかった。 接近戦しかない。 斬ると血が吹き出る。刺すしかない。 一撃で決めなければ。 オレはヤツの後ろに回りこみ、背中に飛び乗った。 恐ろしく臭い。だが臭いなど気にしてる場合じゃない。 必死にオレを振り落とそうと暴れる。まるでロデオだ。 体毛をつかみヤツの体をよじ登る。 頭まで辿り着いたところで思いっきりサムライブレードTITISIBORIを突き刺した。 突き刺した瞬間にオレは振り落とされた。 振り落とされた時にヤツの左前足の血を浴び、一瞬で右足がケロイド状になってしまった。 このバケモノだって脳みそにダメージを与えたら流石に死ぬだろう。 だが、ヤツはフラフラしながら逃げて行った。 まさに手負いの熊を逃がすのには気が引けたが、オレも万策尽きた。 勝負は持ち越しだ。 インカムが壊れたのでオレは発炎筒を焚き救助を待つ。 早く発炎筒に気が付いて救助が来ないと凍えて死んでしまいそうだ… リンジーに会いたい… 次回は『と』 |