スパイダーマン 〜序章〜
最近世の中に溢れてしまってるマンガ映画。ほとんどがクソ映画なんだけどめずらしく成功した例だとオレは思っております。 すごく嫌な表現だし、このホームページのスタンスとかけ離れているんだけど、映画ってのは結局のトコロ、沢山の人に見て貰ってなんぼって話だったりする。 それを考慮するとマンガ映画って間口が広いような気がするが、実はとても難しい。 ネームバリューを見たらスパイダーマンはアメリカで最も人気のあるスーパーヒーローだ。映画を見たコトのない日本人でもスパイダーマンって聞くとあのビジュアルを思いだすのは簡単なコトだろう。 スパイダーマンのデビューが1962年。今年で45年だ。単純にファン層が広い。大人から子供までどころじゃない広さなのだ。まさに『あなたの親愛なる隣人』だ。 実際公開第一週でチャートの上位にランキングされる映画ってのはネームバリュー以外のなにものでもない。公開前のキャンペーンってのもネームバリューをあげる為に行われている訳だ。 とにかく前評判が大切なのだ。 スパイダーマンを映画にするって企画の時点である程度の集客力は見込まれるのだ。 しかし、いくら公開前にキャンペーンを行ってネームバリューを上げても、人気がでるかでないかは映画の内容が全てだ。評価ってヤツが重要なのだ。見た人達がつまらないって言ってしまったが最後、後は尻すぼみになるだけ。 逆に内容が良かった場合には爆発的に人気がでる。 更にもうひとつ。 スパイダーマンは長い歴史があるコミックである。 さっきも書いたがデビューが1962年。日本の歴史があるのマンガのゴルゴ13のデビューが1968年。こち亀が1976年である。 マニアって呼ばれる人の数がそうとうなモノである(ちなみにオレは自称日本を代表するスパイダーマン研究家である)。重箱の隅を突いて来るような意地悪な目を持っているマニアがいるのだ。 そのマニアと、スパイダーマンの名前とビジュアルしか知らないような人達の両方を満足させなければマンガ映画は大ヒットしないのだ。 しかも、マニアを満足させないコトには10年後、20年後にも話題に挙がるような映画にはなれない。 スパイダーマンの名前とビジュアルしか知らないような人達は映画館で見て、レンタルビデオ店に並んだらもう一回見るか見ないか。若しくはTVで放映された時にもう一回見るくらいだ。 DVDを買って何度も繰り返し見て、研究するのはマニアなのだ。マニアが研究し、語り継がなければ消費されるだけの映画になってしまう。 一見、間口が広そうだが実は非常に難しいマンガ映画。しかも45年の歴史があるスパイダーマン。 そんなスパイダーマンを21世紀にスクリーンに復活させたのが正直な話、一時期の勢いを失ってるとボンクラどもに囁かれていたサム・ライミ。 ■死霊のはらわた The Evil Dead(1983) ■XYZマーダーズ Crimewave(1985) ■死霊のはらわたU Evil DeadU(1987) ■ダークマン Darkman(1990) ■キャプテン・スーパーマーケット(死霊のはらわたV) Army of Darkness(1993) ■クイック&デッド The Quick and the Dead(1995) ■シンプル・プラン A Simple Plan(1998) ■ラブ・オブ・ザ・ゲーム For Love of the Game(1999) ■ギフト The Gift(2000) スパイダーマン以前のサム・ライミの監督作品だ。 初期の5作品はボンクラ・ワールド・シネマズにとって完璧なストライク作品。6作目のクイック&デッドもマカロニ魂あふれるボンクラ・ワールド・シネマズ向きの作品だ。 シンプル・プラン、ラブ・オブ・ザ・ゲーム、ギフトの3作品は… サム・ライミはボンクラの代表だったハズだ。 疾走感、と言うより加速し続ける映像。 人の痛覚を刺激しまくる徹底的なスプラッタ表現。 それでいてバカ。 そんなオレ達ボンクラが大好きなサム・ライムだったが、人の心理描写をじっくりとる監督になってしまった… ヒヨったな…オレはそう思ってた。ハリウッドの金と欲にまみれやがって! だがしかし! この、人の心理描写をじっくり撮るってのはスパイダーマンを撮る為に必要だったのだ! スパイダーマンの魅力は実物大のヒーローだってコトだ。 ヒーローだって悩む。お金のコト。学校のコト。仕事のコト。好きな女の子のコト。 それが『あなたの親愛なる隣人』スパイダーマンだ。 人の心理描写をじっくり撮るってスキルを見につけたサム・ライミが放つスパイダーマン。 サイコーだぜ!!! |