孤島の鬼

2年に一回ペースで読み返している作品。
オレの中での江戸川乱歩さんの最高傑作だと思います。


読むたびにゾクゾクする。見てはいけないモノを見てしまった後ろめたさからくるゾクゾクだと思う。
何が見てはいけないかって言うと、1929年の発行だからこそ許された無茶苦茶な表現と設定の数々である。

登場人物がヘンテコなヤツ等ばっかりだ。まともなヤツはほとんどでてこない。

主人公の気弱な青年。色白のいい男である。しかも、男受けがいい。自分でもそれに気が付いていて、男心を弄ぶ自分の容姿にうっとりしちゃったりする。その癖、自分に行為をよせる男性にはっきりと気持ち悪いって言ってしまう。
コイツの彼女が殺されたのが事件の始まり。死んだ彼女の灰を斎場からぱくって食べるステキな行動にでる。

主人公の友達の外科医。ゲイ。それでいてイケメン。主人公に恋しちゃってる。女々しく愛を語るがふられる。
主人公に彼女ができたので、あわててその彼女に求婚するって男らしさを見せる。その彼女が殺されたので、さあ大変!このままじゃ下手人としてしょっぴかれるってんで事件の解決に手を貸すが下心はたっぷり。
母親に性的虐待を受けていた。その為女性は気持ち悪いみたい。ちなみに母親はせむし女

ゲイのオヤジ。コイツもせむし男。背骨だけではなく精神も曲がっちゃってる片輪(かたわ)に生まれたコトで世界を憎くみ、片輪の王国を作るってエキサイティングな野望を持つ。
そんなデストロイな野望を叶える為に、人口畸形児を作るのがライフワーク。そのスキルをアップする為に息子を都会の学校に行かせて、外科医にする。
ちなみに人口畸形児はその辺からさらってきた子供を使用します。もちろんゲイの息子もさらってきた!
彼の作品の人口奇形児数あれど、1番の自信作は人口シャム型双生児か?人口なので男女の双子というミラクルを生む!

死んだ彼女。唯一まともな人。あまり美人さんじゃないらしいが、乱歩さんの描写によるとオレは結構好きなタイプ♪
この娘さんの謎に包まれた過去から事件は始まる!

シャム型双生児の男の方。脳みそは数グラムしかないと思われる。言語能力は皆無。うなるしかできない。
しかし、その数グラムの脳みそはエロスに使用されている。シャム型双生児の女の方に発情し、もちろん股間はフルエレクチオン!

シャム型双生児の女の方。この娘さんは意外とまとも。しかし、世間を知らなかった為に、体がくっついてない人を片輪だと思っていた。
実は死んだ彼女の実の妹。しかも最終的に主人公の妻になる。
なんだかドロドロ…

そんなヤツらが集まったら話がオドロオドロしくなるのは当たり前。


江戸川乱歩さんって人は、人の心のキレイな部分とキタナイ部分、その両極を描かせたら右にでるものがいないと思ってます。
それを乱歩さん特有の説明口調でかかれるのでなんだか心にしみます。

この孤島の鬼って作品は評価も両極に分かれる作品なのですが、このオドロオドロしさはオレの中では世界一の作品です。


※1 最近ではあまり使わない様にしている不適切な表現が多々ありましたがこの作品の魅力を伝える為に、あえて不適切な表現を使っています。

※2 こんな表現をガンガン使うコトが差別をなくすとオレは思っています。臭いモノに蓋をしたって臭いは染み出てくると思います。

※3 キレイ事です。ホントはこういう言葉を使いたいだけかもしれない。


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